[メイン] かる : x5 3d6 #1 (3D6) > 11[6,1,4] > 11 #2 (3D6) > 11[3,6,2] > 11 #3 (3D6) > 9[3,2,4] > 9 #4 (3D6) > 15[6,4,5] > 15 #5 (3D6) > 9[6,2,1] > 9

[メイン] かる : x2 2d6+6 #1 (2D6+6) > 5[4,1]+6 > 11 #2 (2D6+6) > 11[5,6]+6 > 17

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 天から、光が差した。

[メイン] GM : それは、絵画に描かれる神話の一場面のように神々しく、どこか触れがたい、荘厳な光の柱だった。

[メイン] GM : 熱を失う周囲の空気を必死に集めようと、あなたの肺は収縮する。

[メイン] GM : 繰り返し、繰り返し。けれど、喉が絞まっていくような感覚は、いつまでも消えてくれない。

[メイン] 少女 : 「ねえ、あなた。あれを見てはいけないよ」

[メイン] 少女 : 傍らに立つ少女が、泣きそうな声であなたにそう告げるだろう。小さなその手は震え、目元には大粒の涙を溜めている。

[メイン] GM : 辺りには太鼓を打ち鳴らすような重低音と、どこか心に孔を空けるようなフルートの音が響き続けている。

[メイン] GM : 彼女の言葉とは裏腹に、辺りの人々は一様に空を見つめていた。まるで、そうすることを命じられたかのように。みな膝をつき、腕を垂らし、流れる唾液も拭えぬままで、呆然と見上げている。

[メイン] GM : それは、あなたも同じだ。空に空いた孔。そこから降りてくる何かに目を奪われ、胸を満たされ、じわりじわりと、自我が欠けていく。脳が喰われていく。

[メイン] GM : そして、最後の一片までが染まりきろうという刹那。誰かがあなたの手を握った。

[メイン] GM : もう、それが誰なのかすらもあなたにはわからなかっただろうが、その温もりの主は涙混じりの声で、あなたに告げるのだった。

[メイン] : 「私の名前を、忘れないで。落ちてしまったそこで、何度でも私の名を呼んで――」

[メイン] : それを最後に、あなたの意識は途切れる。抗いがたい眠気に飲み込まれるような、穏やかな途絶に身を任せ、あなたは融解し、交合し、希釈されていく。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : クトゥルフ神話TRPG『JESSICA』。

[メイン] GM : これは、瑕疵の物語。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : からん。空になったスチール缶が涼やかな音を発てた。
麗らかな陽射しに照らされ、あなたは目を醒ます。

[メイン] GM : どうやら、うたた寝をしてしまったようだった。あなたは白を基調とした無機質な建物の中庭、腰ほどの高さのある花壇に腰かけて微睡んでいた。

[メイン] GM : 辺りには疎らながら人影があり、各々談笑をしたり、ベンチに腰掛けて本を読んだりと穏やかな時間が流れている。

[メイン] GM : ここはどこだろうか。

[メイン] GM : 頭には靄がかかり、なんとなく手足の感覚は遠い。どうしてここにいるのか、いつからここで呆けていたのか、あなたは思い出すことができないだろう。

[メイン] GM : 体は重いが、問題なく動く。中途半端に睡眠を摂ってしまった後の、あの倦怠感によく似た感覚だった。

[メイン] 窓付き : 気味の悪さはあった。ただ、それだけだった。
気怠い身体が、まずは動くかどうかを確認する。
うららかな空へと、手をゆっくり掲げる。

[メイン] 窓付き : 掌を太陽に重ねる。
指を折り曲げ、握り、そしてまた、開く。

[メイン] 窓付き : 血のめぐりと、お日様の熱を感じる。
寝惚けた思考回路こそまだ本調子ではないが、ビタミンDが体内に生成され、時計がぐるりと正常に回り始める。

[メイン] 窓付き : そのベンチに座り、微睡んでいたのは、おさげの少女だった。
あどけない顔立ちで、きっと学生であろうことが窺い知れる。

[メイン] 窓付き : まるで胸に窓でも付いているような、変わった私服を着ていた。
周りと違う特徴と言えば、その程度。

[メイン] 窓付き : 「…………」
言葉を発することも無く、細目は微動だにしない。

[メイン] 窓付き : 彷彿とするは、ターミナルケア。
もう大目的を失われた中の、微かな安らぎを与える為に施されるもの。

[メイン] 窓付き : それと、よく似ていた。

[メイン] 窓付き : 体調こそ優れてはいないが、不思議と、悪い気持ちではなかった。
久々に、外の空気を吸えたからだろうか。
後付けの理由としては、そんなものだ。

[メイン] 窓付き : 重たい腰を上げる。
ここはどこだろうか。
別に、帰りたいだとかは思ってはいない、今のところは。居心地が良いのだから。
ただ、それはそうと、何もせずただぼーっとするのもなんだ、というものであった。

[メイン] 窓付き : つまりは、なんとなくだった。
その場の気分で、動いてみることにした。

[メイン] 窓付き : ★すみません★

[メイン] 窓付き : 談笑している人へと話しかける。
水を差して申し訳ないとは、少しくらいは心の中で思っておく。
不躾は、承知。ただ、何か守らなくちゃいけない使命感は、持ち合わせいないのだから。
別に、どう転がってもいい。そんな気持ちで、声を掛けたのだった。

[メイン] GM : あなたが周囲を見て回ろうと立ち上がろうとすれば、ふと、左腕を引っ張られるような感覚に気が付くことだろう。

[メイン] GM : ――あなたの前腕辺りから、透明な管が伸びていた。

[メイン] GM : そして、それは同じくあなたの斜め上、スタンドに吊るされた透明なパックに繋がっている。

[メイン] GM : パックの中には赤黒く、ドクドクと脈打つ半固形の液体のようなものが詰まっており、それは管を通じて絶え間なく、あなたの体に流れ込んでいる。

[メイン] GM : 血管に侵入してくる液体の感覚はひどく生々しく不快であり、あなたの背筋を冷やすことだろう。SANc(1/1d3+1)

[メイン] 窓付き : 1D100<=45 正気度ロール (1D100<=45) > 61 > 失敗

[メイン] 窓付き : 1d3+1 (1D3+1) > 2[2]+1 > 3

[メイン] system : [ 窓付き ] SAN : 45 → 42

[メイン] 窓付き : 「……………」
つっかえた、それ以上動けなかった。
流れ込むものを細目が見やる。まるで、他人事の様に。

[メイン] 窓付き : 果たして過去の私は、病院から脱出したのだろうか、点滴静脈注射をくっつかせながら。
よく覚えていない。

[メイン] 窓付き : 自分の体内に入ってくるものを見やる。不吉な感じがした。
あとは、不愉快な気分にもなった。

[メイン] 窓付き : ただ、なんとなく、把握したような気がする。

[メイン] 窓付き : ★ゆめ★

[メイン] 窓付き : それと似たような、感覚。

[メイン] 窓付き : この公園内には似つかわしくないそれが、気持ち悪さを増長させる。

[メイン] 窓付き : 少女は、考えた。この管を抜いてしまっても良いかどうか。
気分的には、今すぐにでも抜いておきたいところだった、ただ。

[メイン] 窓付き : まぁ、でも、別に、すぐじゃなくても、いいか。
そんな諦念も、あった。

[メイン] 窓付き : 少女は、まず試みた。
スタンドが動かせるかどうかを。

[メイン] GM : スタンドは動かせますね。

[メイン] 窓付き : ホッとした。動かせなかったら、繋ぎっぱなしのまま、このうららかな公園で過ごすことになっていただろう。
飽きたら、抜いていたと思うが、とにかく、良かった。

[メイン] 窓付き : スタンドを動かしながら、ふと近くにいた老人が目に入る。
遠く談笑している子ども達に声を掛けるのも、億劫だ。
距離的に、近いところから、楽なところから、足を進める。

[メイン] 窓付き : 口をパクパクと動かす。
★すみません★
お年寄りに声を掛けた。

[メイン] GM : 手近なベンチには、一人の老人が座っている。手にはくすんだ色のカバーがかけられた本を持っており、老眼鏡越しにページを目で追っているのがわかるだろう。

[メイン] GM : あなたが近付くと、老人は明らかに不愉快そうに眉を潜めた。そして、本を閉じるとそそくさとその場を後にしてしまうことだろう。

[メイン] GM : その瞳には、隠しようのない侮蔑の色が浮かんでいた。

[メイン] GM : 《目星》を振れますね。

[メイン] 窓付き : CCB<=95 目星 (1D100<=95) > 9 > スペシャル

[メイン] GM : 老人が座っていた足元に、一冊の本が落ちているのに気が付く。どうやら、彼が落としていったものらしい。

[メイン] 窓付き : 理由は分からないが、不愉快にさせてしまった。
何故だろう。それほど不愛想であっただろうか。
笑顔を作るのは、確かに不得意だが……。

[メイン] 窓付き : 「………?」
ふと、落とし物に気が付く。すぐに拾い、再度老人へと声を掛ける。
★すみません★

[メイン] GM : あなたが声をかけても無視するように、老人は早足に去って行きました。

[メイン] 窓付き : 行ってしまった。ぽつりとそこに取り残される。

[メイン] 窓付き : 無表情の顔を、拾った本へと向ける。
どうしたものかと、逡巡している様。

[メイン] 窓付き : 首を傾け、また戻す。
単純な、好奇心が芽生えた。

[メイン] 窓付き : あの大層不機嫌な老人が読んでいた本、もう飽いたのか捨てたであろう本、という後付けの理屈をいくらでも付けられるような本。

[メイン] 窓付き : 価値は、まぁ、その程度。
ただ、別に何かするわけでもない、しなければいけないわけでもないのだから。

[メイン] 窓付き : 暇だから、読んでみることにした。

少女は、本を開いた。

[メイン] GM : パラパラと捲れば、それが赤子の命名に使うものであることがわかるだろう。しばらく読み進めれば、とある一節が目に留まる。

[メイン] GM : 『命名の意味について』を獲得。

[メイン] 『命名の意味について』 :  名前をつけるという行為には、大きな意味がある。
 何故なら、名前とは他者との関わりを持つ上で必須のものであり、我々は名前がないままでは他人と交流することもままならない。
 ゆえに、名前には大きな意味があると言えよう。名を知り、それを呼ぶだけである種の縁が生まれるとも言える。
 そのため、子供につける名前には気を遣わなければならない。昨今では奇抜な名前も流行りつつはあるが、子供がそれを背負い続けなければならないということを、忘れてはいけない。

[メイン] 窓付き : 生物の中でも、『人間』がおそらくは固有して持つ、発明品の一つだった。

[メイン] 窓付き : 仲間を判別するために、そして呼ぶ際の利便性の為に存在する、『名前』。

[メイン] 窓付き : 『社会』の中で生きていくなら、必要なもの。

[メイン] 窓付き : 尤も、今の自分にとって必要なものかどうかで言えば─────。

[メイン] 窓付き : ぱたりと閉じた。
飽きた。

[メイン] 窓付き : 今度は、草花を見つめている少年を見つけた。
見つけた、というよりも、目についた。

[メイン] 窓付き : 距離も近いので、今度は彼に話しかけてみることにした。
スタンドを重そうに持ち上げながら、歩き進む。

[メイン] 窓付き : ★こんにちは★

少女は、少年へと話しかけた。

[メイン] GM : 無邪気に花壇に並ぶ草花を眺めている、小学校低学年ほどの、少年とも少女ともつかない子供が目に入る。

[メイン] GM : その子はあなたの視線と声に気が付くと、あなたの方を指差して笑った。まるで道化の顔でも見たかのように、キャッキャッと。

[メイン] GM : しばらくして、あなたを追い越すようにして一人の女性が現れた。彼女は子供の手を引くと、あなたを見つめる視線を遮るようにして、そのままどこかへ連れていった。

[メイン] GM : 《目星》を振れますね。

[メイン] 窓付き : CCB<=95 目星 (1D100<=95) > 16 > スペシャル

[メイン] GM : あなたは気が付くことだろう。彼女はまるで不愉快なものでも見たかのように目を背けた。

[メイン] GM : そして、その口元が忙しく動いていたこともわかるだろう。口の動きから読むのであれば『あっちを見ちゃいけません』と、そう口にしていたことがわかる。

[メイン] 窓付き : 「…………」
傷ついたかどうかで言えば、普通。
ただ、不思議。自分の顔は、そんなにも可笑しなものだっただろうか。

[メイン] 窓付き : ぺた、ぺた、ぺた。と、自分の顔を触る少女。

[メイン] 窓付き : 鏡が無いから、分からない。
指だけで全部感知できるほど、優れた特性を持っているわけでもないのだから。

[メイン] 窓付き : また少女は、小首を傾げるのだった。

[メイン] 窓付き : 彼女の心の中にあるのは
★ふしぎ★
ただ、それだけであった。

[メイン] 窓付き : 他人事の様に、おそらくは親子であろう三人の背を見送るのだった。

[メイン] 窓付き : そして今度は……建物の扉が目に入った。

[メイン] 窓付き : 建物、建物?
まぁ、とにかく、建物があった。

[メイン] 窓付き : 少女は、建物を見上げた。

[メイン] GM : 真っ白い建物だ。
目の前には扉があり、どうやら、建物の中に続いているようだ。扉には鍵がかかってこそいないものの、ワイヤーの入ったくもりガラスであるため、中の様子を伺うことは難しそうだ。

[メイン] GM : 《聞き耳》を振れますね。

[メイン] 窓付き : CCB<=95 聞き耳 (1D100<=95) > 11 > スペシャル

[メイン] GM : 扉の向こうからは話し声や足音がいくつも聞こえてくる。どうやら、かなり人気がありそうだということがわかるだろう。

[メイン] 窓付き : 「……………」
勝手に入ってもいいのだろうか、というような懸念は……。

[メイン] 窓付き : ★ゆめ★

それと、似た感覚であったから。

[メイン] 窓付き : まぁ、いいか。
そう、思えた。

[メイン] 窓付き : この建物が、一体何の建物なのか、どういった用途として用いられているのか。
誰が使ってもいいのか、立ち入り禁止ではないかどうか。
そういうのを一々調べるのも、なんだか億劫だった。

[メイン] 窓付き : ★開ける★

[メイン] GM : あなたが建物の中に入れば、無機質で真っ白な壁と床があなたを迎えてくれる。あちこちを白衣に身を包んだ者や、簡素な入院着に身を包んだ者が歩いている。

[メイン] 窓付き : 「……………」
なんだか、見慣れた光景のように思える。ここは、『病院』だったのだろうか。
しかし、入院した記憶については、曖昧なのだが……。
ただ、この白一面の、何色にも塗られない、統一感のあるこの場所は……少女にとっては

[メイン] 窓付き : 居心地の良さがあった。
そして、閉塞感による苦しさもあった。

つまり、良い場所だとも思えるし、悪い場所だとも思える。

[メイン] 窓付き : そんなところだった。

[メイン] GM : ここは、どんな施設なのだろうか。あなたが興味を惹かれ、辺りを見渡していると、ふと、それが目に入った。

[メイン] 少女 : それは、一人の少女だった。短く切り揃えた髪は色素が薄く、透き通るような白色。目はまるで紅玉(ルビー)を削り出したかのような鮮やかな赤色であり、何かを探しているのか、忙しなく動いている。

[メイン] 少女 : 彼女は手に花束のようなものを抱えていた。色とりどりの鮮やかなガーベラ。所在無さげな足取りで、ふらふらと彷徨っている。

[メイン] GM : 《アイデア》を振れますね。

[メイン] 窓付き : CCB<=85 アイデア (1D100<=85) > 47 > 成功

[メイン] GM : 彼女は花瓶を探しているのではないかと気が付くだろう。

[メイン] GM : あなたが視線を巡らせれば、少し離れたところに置かれたアルミ製の棚に、空の花瓶が置かれているのが見える。

[メイン] GM : これを、彼女の元へ持っていってあげよう。彼女は花が好きだから、自分の名前も花の名前なのだと、誇らしげに話していたのだから――。

[メイン] 窓付き : 「……………?」

[メイン] 窓付き : なんで、そんなこと、知ってる?

[メイン] 窓付き : 花瓶を手にしたところで、少女はそう思った。

[メイン] 窓付き : また再度、アルビノの少女の方へと、細目を向かせる。

[メイン] 窓付き : ……見覚え、あるような、無いような。

[メイン] 窓付き : これまた……。
★ふしぎ★
……だった。

[メイン] 窓付き : まあ、いいや。
お決まりだった。他人事だった。諦念の中にあった。

[メイン] 窓付き : 花瓶を持って、アルビノの少女の方へと歩き、その肩をつんつん、と指で突っつく。

[メイン] GM : ――と、その時、あなたは違和感に気が付くだろう。

[メイン] GM : 目の前に、急に壁が現れたのだ。先程までなにもなかった前方は、唐突に遮られた。

[メイン] GM : 混乱する頭は、しばらくすると理解するだろう。酩酊にも似た目眩、浮遊感。

[メイン] GM : ああ、あなたは、逆さまに床に落ちているのだ。

[メイン] 窓付き : 「……………………」

[メイン] 窓付き : ただ、他人事の様に。

[メイン] 窓付き : ただ、諦念の中にあるように。

[メイン] 窓付き : ああ、落ちていくんだ、と。

[メイン] 窓付き : 内臓が、慣性によって引っ張られる。

[メイン] 窓付き : 混沌、無茶苦茶、不条理。

[メイン] 窓付き : ……慣れっこだった。

[メイン] 窓付き : まあ……。

[メイン] 窓付き : 慣れていいものじゃないでしょって、自分でも、思えるから。

[メイン] 窓付き : 無性に、哀しかった。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 次に目を開けた時、あなたの視界は酷くたわんでいた。酷い目眩が、あなたの頭を揺らしている。見るもの全てがサイケデリックに歪み、色相はぐちゃぐちゃに捩れて網膜に突き刺さった。

[メイン] GM : 耳鳴りが、意識に繰り返し線を引いていく。そこから滲んだ血がうっすらと染め上げた世界は、すっかり様変わりしてしまっていた。

[メイン] GM : 場所は、きっと先程まであなたがいた、建物の入り口に相違無いのだろう。しかし、あちこちに血飛沫のようなものが飛び、あなたの手にも鈍い痛みが残っていた。

[メイン] GM : そして何より、あなたの体を、無数の何かが押さえつけている。

[メイン] GM : それらは一見すれば、人間のように見えた。けれど、すぐに勘違いなのだと思い知らされる。

[メイン] GM : 凹凸に乏しい、のっぺりとした顔。その真ん中あたりから裂けた口にはびっしりと細かい歯が生えており、まるで柔らかな繊毛のようにうぞうぞと動き続けている。

[メイン] GM : 瞳はなく、代わりに落ち窪んだ眼窩からは絶えず赤黒い粘液が溢れ落ちている。

[メイン] GM : おぞましい、それこそ言語化し難いガラスを引っ掻いたような音と共に、それらの口から漏れる、魚を腐らせたような臭いが怖気を際限無く煽っていくだろう。(SANc1d3/1d6+1)

[メイン] 窓付き : 1D100<=42 正気度ロール (1D100<=42) > 53 > 失敗

[メイン] 窓付き : 1d6+1 (1D6+1) > 2[2]+1 > 3

[メイン] system : [ 窓付き ] SAN : 42 → 39

[メイン] 窓付き : 得体の知れない、気持ちの悪い、不気味で、精神を生で触られているような感覚。

[メイン] 窓付き : 「…………………」
動けなかった。

[メイン] 窓付き : ここで、自分は死ぬのだろうか。
……なんて、また自分の姿を、自分で傍観していた。

[メイン] GM : その生き物たちは皆、仰向けにされたあなたの両手足を押さえていた。凄まじい力で押さえ付けられたあなたは身動きも取れずに、ただもがくばかりだ。

[メイン] GM : そんなあなたの元に、何かが近付いてくる。丁度あなたの腕の辺りに屈み込んだそれは、あなたを押さえ付けている生き物と同じもののようだった。

[メイン] GM : そいつは手に持っていたシリンジのカバーを外すと、得体の知れない赤黒い液の満たされた針の先を、あなたの静脈に向けて近付いていく。

[メイン] GM : 叫びが。

[メイン] GM : 針が。

[メイン] GM : 戦慄く声が。

[メイン] GM : ゆっくり、ゆっくりと、その肌に触れようとしていた。

[メイン] 窓付き : ─────希死念慮。

[メイン] 窓付き : まあ、いいか。

[メイン] 窓付き : そんな風に、思えた。

[メイン] 窓付き : ただ、でも。

[メイン] 窓付き : 痛いのは……やだなぁ。

[メイン] 窓付き : そんな風にも、思っていた。

[メイン] 窓付き : 脳がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられていくような、叫び声の中。

[メイン] 窓付き : プリンの黄色い部分と、カスタードがぐちゃぐちゃになっていくような。
固形が、どろどろのペースト状になっていくような、そんな感覚。

[メイン] 窓付き : 少女は……。

[メイン] 窓付き : ぐったりと、大の字に倒れたままだった。

[メイン] GM : あなたは怪物たちにされるがまま、腕に針を刺されるのを受け入れた。

[メイン] GM : 体に何かが侵入してくる違和感。違和感。違和感。ぞわぞわと、全身の皮膚に広がる蟻走感に鳥肌を立てながら、あなたは不随意に繰り返される痙攣に、身を任せるしかなかった。

[メイン] GM : 気持ち悪い。

[メイン] GM : キモチワルイ。

[メイン] GM : 自分が自分でなくなるような、不快感が爪先までを満たしていくのを、ただただ感じていたSANc(1/1d3+1)。

[メイン] 窓付き : 1D100<=39 正気度ロール (1D100<=39) > 11 > 成功

[メイン] system : [ 窓付き ] SAN : 39 → 38

[メイン] GM : 聴覚。

[メイン] GM : 視覚。

[メイン] GM : 痛覚すらもどこか遠く、あなたは呼吸の仕方すら思い出せないまま、微睡みの中に落ちていった。

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 77

[メイン] GM : s1d6 なにも (1D6) > 6

[メイン] GM :  

[メイン] GM : あなたが顔を上げるのと同時、窓から差してきた陽光が両目を焼いた。

[メイン] GM : いつの間にか、寝てしまったようだ。突っ伏せるようにして微睡んでいたあなたは、懐かしい夢を見た気がするし、そうでなかったような気もする。

[メイン] GM : 周りに視線を巡らせれば、辺り一面に置かれていた棚には、様々な本の背表紙が収められている。

[メイン] GM : 本が音を吸ってしまっているのか、ずいぶんと静かな場所だなと思うことだろう。

[メイン] GM : 恐らく、図書館か何かだろう。ここがどこなのかは相変わらずわからないままだが、ジャンルも年代も様々な書物たちは、あなたを退屈させたりはしないだろう。

[メイン] 窓付き : 今度は、室内だった。見覚えは、当然のことながら無い。

[メイン] 窓付き : 本の匂いがする。木材と、紙と、インクの混ざった、心地の良い匂い。

[メイン] 窓付き : 落ち着く場所だった。悪くない。全然悪くない。
公園よりも、ずっと気持ちが楽かもしれない、そんな場所だった。

[メイン] 窓付き : ただ、やっぱり。

[メイン] 窓付き : テーブルを、たたん、と指で叩くと、頬杖を着く。

[メイン] 窓付き : 「…………」
暇だった。

[メイン] 窓付き : なので、物色してみることにした。読書の趣味こそないが、もしかしたら、こういう暇な時間を使って、色々散策していくうちに、自分にとって好ましいと思える何かと出会えるかもしれない。

[メイン] 窓付き : そんな、縁のぼやけた望みのままに立ち上がり、本棚を見に行こうとする。

[メイン] GM : どこか感覚の遠い手足に力を込め、立ち上がろうとしたあなたは、思わず腕に走った鋭い痛みに顔を歪めることだろう。

[メイン] GM : 見れば、あなたの左の前腕部に、10センチほどの裂け目ができていた。既に血は止まっているようだが、じゅくじゅくと、熟れすぎた果実のように湿った傷口は、黄緑色の濁った膿を吐き出し続けている。

[メイン] GM : 驚愕するあなたが傷を見つめていれば、不意に、その中に蠢くような感覚があるだろう。

[メイン] GM : ――蟲だった。

[メイン] GM : 手足を持たぬ、見方によれば米粒のようにも見える真っ白な蛆虫が、のたくりながら腕から這い出てきた。ずるり、ずるりと。その数は一匹や二匹ではなく、数匹が顔を出してなお、皮膚の裏で何かが泳いでいるような疼きが消えないことだろう。SANc(1/1d4+1)

[メイン] 窓付き : 1D100<=38 正気度ロール (1D100<=38) > 38 > 成功

[メイン] system : [ 窓付き ] SAN : 38 → 37

[メイン] 窓付き : 振り払った。考える間も無く、すぐに腕を払った。

[メイン] 窓付き : 嫌悪感。虫は、好きじゃない。
虫じゃなくても、自分のものじゃないものが、体内にある感触は、気持ちが悪い。

[メイン] 窓付き : 傷跡を、爪で引っ搔いた。掻いた。掻いた。掻いた。掻いた。掻いた。

[メイン] GM : あなたが思わず振り払えば、次の瞬間には蟲などどこにも這っていなかった。

[メイン] GM : 左腕にも、僅かに注射針を抜いたような痕があるばかりだ。全ては気のせいだったのだろうか――あんなに、リアルな感覚が?

[メイン] GM : あなたは引っ掻き血が滲む腕に軽い熱を覚えながら、行かなければならないだろう。

[メイン] 窓付き : 「……………」
薬物をやっていると、こういう幻覚を見るそうだ。特に、薬が切れると、百足のような虫が全員を這うような感覚になると。

[メイン] 窓付き : 学校の保健体育の教科書に書いてあった内容を思い出す。
不安になる。
ただ。
まぁ、いいか。
やっぱり、そう思った。

[メイン] 窓付き : 少女は、他人事の様に立ち上がった。

[メイン] 窓付き : ふと、読書をしている学生が目に入った。
……眉を少しだけ、顰めた。
ただ、よく見たら、『違う』ことが分かった。
それなら、まあいいや、と思い、話しかけてみることにした。

[メイン] 窓付き : ★すみません★

[メイン] GM : ふと、すぐ横合いにいる青年に意識が向く。青年はハードカバーに齧りつくようにして読み耽っており、どうやら随分と集中しているようだ。あなたの声に気付いた様子はない。

[メイン] GM : 《目星》を振れますね。

[メイン] 窓付き : CCB<=95 目星 (1D100<=95) > 80 > 成功

[メイン] GM : 彼の読んでいる本のタイトルが目に入ることだろう。どうやら彼は、哲学を学んでいるようだ。

[メイン] GM : 『認知が及ぼす影響について』を獲得。

[メイン] 『認知が及ぼす影響について』 :  我々の知る世界は、自らの認知によってその色を変える。
 意外にも思うかもしれないが、外界からどのような刺激を受け取ったかではなく、その受け取った刺激をどんなものだと認識するかによって、体にもたらす作用は変わるのだ。
 熱されたストーブで火傷したことのある人間が、冷たいストーブを触った際に同じように火傷を負う、といった事例が報告されている。これは火が入っていると勘違いしたことによる、認知情報の差異から来る出来事である。

[メイン] GM : あなたが覗き込んでいることに気が付いた青年は、驚愕に身を跳ねさせると、すぐに荷物をまとめ、逃げるようにしてその場を立ち去ってしまった。

[メイン] 窓付き : 「…………」
行ってしまった。先程までいない扱いであったにも関わらず、見るや否や飛び出していった。一人取り残される。ぽつりと。

[メイン] 窓付き : 自分こそまるで、虫みたいだった。

[メイン] 窓付き : そして、本のタイトルをふと、思い起こす。
『認知』の話だ。人は、思い込みによって、本当に『死んでしまう』と聞いたことがある。

[メイン] 窓付き : だから、自分達にとっては、『現実』も、『夢』も

[メイン] 窓付き : そう、変わらないんだろう。

[メイン] 窓付き : 少女なりに、そう結論付けてみた。
個人的に、納得のいくものだった。

[メイン] 窓付き : そんなものだと思うから。

[メイン] 窓付き : さて、せっかくなので、まだ時間もある。迫る何かがあるわけでもないのだから、ゆっくりと読書を楽しんでみることにした。

[メイン] 窓付き : 本棚へと、目が向かれる。

[メイン] GM : あなたのすぐ近くにある本棚。ジャンルはどうやら、精神医療や心理学などについての専門書が多いようだ。

[メイン] GM : 他の本棚に比べ、刺さっている代本板の数が随分と少ないことに気が付くだろう。

[メイン] GM : 《図書館》を振れますね。

[メイン] 窓付き : CCB<=95 図書館 (1D100<=95) > 44 > 成功

[メイン] GM : 適当な本をパラパラと捲っていたあなたは、その中の一冊に、ふと、気になる一節を見つけることだろう。

[メイン] GM : 『正気と狂気』を獲得。

[メイン] 『正気と狂気』 :  あなたの正気を保証するものは、一体なんだろうか?
 あなたの持っている常識が、常識であると、理性が理性であると、良識が良識であると、一体何をもって証明することができるのだろうか?
 彼我の視点により、左右が移り変わるように、正気と狂気に明確な基準はない。
 確固たる意思に基づいた行動が、気でも違ったかのように見えてしまうことも多々あるだろう。
 そうであるのなら、正気を担保するのは社会性だとも言える。一人称の視点ではそれを観測することは難しいだろう。
 自らを客観視し、俯瞰して見た時に違和感を感じた時点で――踏み止まることも必要なのかもしれない。

[メイン] 窓付き : 「……………」
なるほど。やっぱり図書館に置いてある本は、いいことがたくさん書いてあるな、と思った。

[メイン] 窓付き : なんとかのパラドックス……一体、なんだったか。

[メイン] 窓付き : そうだ、『自己言及のパラドックス』だ。

[メイン] 窓付き : 『私は正直者です』という題目があった時に、それを、発言者が証明することは、『不可能』らしい。

[メイン] 窓付き : 『私』が正直者なら、『正直者です』と答えるし
『私』が嘘つきでも、『正直者です』と答える。

[メイン] 窓付き : それと、似てること。自分の正気は、自分一人では判断することができない。だから、誰かを必要とする。

[メイン] 窓付き : 「…………………」

[メイン] 窓付き : めんどくさい。
そう思うのだった。

[メイン] 窓付き : ぱたりと、本を閉じた。

[メイン] 窓付き : 飽きた。

[メイン] 窓付き : 次の本を探しに行くのだった。

[メイン] GM : 辺りを見回していたあなたは、ふと、奥まったところにある本棚に気になるものを見つけた。

[メイン] GM : 頭上、高いところにあるそれは、ひとつの代本板だった。あちこちが傷つき、擦りきれ。塗装の剥がれたそれを見て、あなたは確信するだろう。

[メイン] GM : あれは、自分のものだ。

[メイン] GM : しかし、あなたには本を借りた記憶などない。どころか、この図書館にすら見覚えがないだろう。

[メイン] GM : 本棚に収められているのは、伝記関係の本がほとんどだった。一体何を借りたのだろうと、あなたは横合いにある脚立を使い、それを確認しに行くことだろう。

[メイン] 窓付き : ★?★

[メイン] 窓付き : とても、不思議だった。

[メイン] 窓付き : でも、そう感じるのだから、そうなのだろう。

[メイン] 窓付き : 正気によって動かされているのか、それとも、狂気によって動かされているのか

[メイン] 窓付き : 自分で判断できないなら、考えたって仕方のないことなのだから。

[メイン] 窓付き : ★自分のもの★ を手に取る。

[メイン] GM : 冷たい金属を踏みしめ、軋む音に体を預け、あなたは本棚に手を伸ばした――。

[メイン] GM : ――その刹那、あなたの視界に何かが映った。

[メイン] 少女 : そこにいたのは、昨日も目にした白い髪の少女だった。

[メイン] 少女 : 彼女はその細腕には重そうな分厚い本を抱え、何かを探すようにしてふらふらと歩いている。

[メイン] GM : 《目星》を振れますね。

[メイン] 窓付き : CCB<=95 目星 (1D100<=95) > 58 > 成功

[メイン] GM : 彼女が持っているのは、植物図鑑だと気が付くことができるだろう。

[メイン] GM : そういえば、彼女は「私は春先に咲くの」と話していた。草花を愛するその横顔に、春の麗らかな日差しはよく似合うことだろう。

[メイン] 窓付き : 重たそう。少女は、そう思った。
そして、アルビノの彼女と『話していた』会話を、思い出す。

[メイン] 窓付き : 会話を、思い出す?

[メイン] 窓付き : ……思い出したのだから、仕方がない。

[メイン] 窓付き : 兎にも角にも、何か探しているみたいだ。もしかしたら、『これ』かもしれない。
間違っていても、別にいい。その時はその時で、一緒に探せばいい。

[メイン] 窓付き : 『自分のもの』を手に取って、梯子を降りると、アルビノの少女へと足を運ぶのだった。

[メイン] GM : その時、あなたはふと、気が付いてしまう。

[メイン] GM : いつの間にか、世界が大きく傾いていた。床も、壁も、天井も。そして、そこにある人々の一人に至るまで、全てが大きく傾いでいる。

[メイン] GM : あなたの頭の中は疑問符で埋め尽くされるが――すぐに、それは解消されるだろう。

[メイン] GM : 傾いでいるのは、あなただ。

[メイン] GM : ぐらぐらと揺れる脚立の上、バランスを崩したあなたは、そのまま重力に惹かれるようにして――そこで、意識が途切れた。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 肩を包む寒気で、あなたは目を覚ます。
気が付けば、床に倒れてしまっていたようだ。辺りには先程まで使っていた脚立も転がっている。

[メイン] GM : 頭が、割れるように痛む。耳鳴りと目眩が世界をぐちゃぐちゃにかき混ぜ、幾何学に歪んでしまっている。

[メイン] 窓付き : どろりと、光景がねじ曲がってる。きっと、今ので頭をぶつけて、おかしくなってしまったのかもしれない。鈍痛が今も、響く。

[メイン] 窓付き : 「…………………」
『また』だ。と思った。
……他人事のように、そう思った。

[メイン] 窓付き : ただ、今回は……床に落ちていくことはなかった。
また、動ける。まだ、見渡せる。

[メイン] 窓付き : ふらつく脚。ぐらつく視界。小鹿のように、立ち上がる。

[メイン] GM : 何が起こったのだろう、と身を起こすのと同時に、あなたはそれを目にする。

[メイン] GM : 星空だ。

[メイン] GM : いつの間にか天井は失われ、あなたの頭上には明るい星々が瞬いていた。

[メイン] GM : まるでCGか何かのように、荘厳な景色が視界を端から端まで覆い尽くす。それは、あまりに美しい、散開星団の流星雨――。

[メイン] GM : ――しかし、あなたはその星空に、何故か恐ろしさのようなものを感じていた。

[メイン] GM : このまま空が、落ちてくるのではないだろうか。あるいは、あなたは空が落ちてくるのを見たことがあるのではないか。

[メイン] GM : そんな錯覚すら覚えることだろう。

[メイン] 窓付き : 茫然とした。

[メイン] 窓付き : 力が、抜けていくようだった。

[メイン] 窓付き : 膝を着いた。腕も、だらりと垂れた。半開きになった口からは、涎が垂れる。それを拭えることもなく、ただ、落ちる空を見上げていた。

[メイン] 窓付き : 目を奪われ、胸を満たされ、じわりじわりと………。

[メイン] GM : ――あなたがそれに気が付いたのは、その直後だった。

[メイン] GM : 部屋の入り口の向こう、真っ白な廊下の奥から、何かがこちらに近づいてきている。

[メイン] GM : 少なくともあなたの見覚えのあるものではなかった。何かの群れ。不揃いな足音を引き連れた、焦点の合わない輪郭たちの集合体だ。

[メイン] GM : それらはただ、通路を埋め尽くす不快な濁流として、耳を侵すさざめきを辺りに撒き散らしながら、ゆっくりとこの部屋に向かってきている。

[メイン] GM : 濁り。

[メイン] GM : 澱み。

[メイン] GM : ねばつきと腐臭を伴いながら迫り来るそれは、あなたの腹の底から、生理的な嫌悪感を引きずり出したのだった。SANc(1d3/1d6+1)

[メイン] 窓付き : 1D100<=37 正気度ロール (1D100<=37) > 42 > 失敗

[メイン] 窓付き : 1d6+1 (1D6+1) > 1[1]+1 > 2

[メイン] system : [ 窓付き ] SAN : 37 → 35

[メイン] 窓付き : 「……………」
さっきとは、違った。身動きは、取れる。
意識の半分以上が、正常稼働こそしていないものの……。

[メイン] 窓付き : 別に、どうなっても、いい、とは思っている。
思ってはいるが、先程のように……『虫』を入れられるのは、不愉快に思う。

[メイン] 窓付き : 『彼ら』がやってくるまでに……どこか、隠れられるような場所が無いかを探す。

[メイン] GM : 逃げなければ。

[メイン] GM : 身を隠さなければならない。

[メイン] GM : どこか、それができるところはあるだろうか。

[メイン] GM : あなたは視線を巡らせることだろう。

[メイン] GM : 《目星》を振れますね。

[メイン] 窓付き : CCB<=95 目星 (1D100<=95) > 99 > 致命的失敗

[メイン] GM : あなたは呆然と、その場に立ち尽くしていた。

[メイン] GM : いつしか、頭上に瞬く星々は赤く染まり、まるで血のように赤い涙を溜めた。それらが溢れ落ちなかったのは慈悲か、あるいは。

[メイン] GM : 不快な群れが、眼前に迫る。最早、恐怖は隠しきれない。膝からは力が抜け、脳髄は過剰なストレスに焼ききれてしまいそうだった。SANc(1/1d4+1)

[メイン] 窓付き : 1D100<=35 正気度ロール (1D100<=35) > 87 > 失敗

[メイン] 窓付き : 1d4+1 (1D4+1) > 3[3]+1 > 4

[メイン] system : [ 窓付き ] SAN : 35 → 31

[メイン] GM : 不確かな生き物たちは、あなたに向けて手を伸ばしてくる。けれど、あなたはそれを避けることも叶わない。

[メイン] GM : だってもう、足も腕も、瞼のひとつに至るまで、あなたは動かすことができないのだから。

[メイン] 窓付き : ─────ああ……駄目だった。
自分が思っている以上に、自分の体は、不自由だった。
何かに縛られている、どころでは、無かった。

[メイン] 窓付き : ─────握りつぶされているようだった。

[メイン] GM : そして、そのぬるりとした指先が触れるか否かの刹那、あなたの意識は暗転した。

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 4

[メイン] GM : s1d6 成功しましたね… (1D6) > 2

[メイン] GM :  

[メイン] GM : いつかの記憶。並んで歩く足音が、静かな町の中に響いていく。

[メイン] 少女 : 「この町に帰ってきたのは久しぶりだったの。お母さんが死んじゃって、お爺ちゃんの家で暮らすことになったから」

[メイン] 少女 : 彼女はどこか、歌うようにして言った。

[メイン] GM : ふわり、ふわりと透き通った髪が跳ねては、あなたの鼻腔に柑橘系の爽やかな香りが届く。

[メイン] GM : スキップ交じりの軽やかな足取りは、それでも互いの歩調を乱すことはなかった。

[メイン] 少女 : 「私の名前はね、お爺ちゃんがつけてくれたの。ダヴィデ様のお父様の名前がもとになってる、素晴らしい名前だって。私、とっても気に入っているの」

[メイン] 少女 : にこやかに話す彼女は、どこまでも眩しい笑みを浮かべていた。

[メイン] 窓付き : 「へぇ~?そうなんだ?■■■■■ちゃんの名前の由来って、そうだったんだ」

[メイン] 窓付き : 「でも、いいね。誇れる名前があるのって、羨ましいなぁ」
隣を歩く少女もまた、微笑み、楽しそうにしていた。

[メイン] 少女 : えへへ。とはにかむように笑いながら。
……不意に、彼女の腹の虫が小さく鳴り響く。

[メイン] 窓付き : 「………ふふ」
その音の次に間が置かれ、そして〇〇〇〇が笑いを零した。

[メイン] 窓付き : 「食いしん坊ちゃんだね、お腹ぺこぺこになっちゃったんだ」
揶揄うような口調だった。悪戯っぽい表情で。

[メイン] 少女 : あなたのその言葉に、ぷくっと頬を膨らませるも、またすぐに笑顔に戻って。

[メイン] GM : 時間はちょうど、昼時だった。そろそろ繁華街の方に足を向けて、昼食を摂ってもいいだろう――そんな風に、あなたがぼんやりと考えていた、その時だった。

[メイン] 少女 : 「――え?」

[メイン] 少女 : 傍らの彼女が、驚愕の声を上げた。

[メイン] 窓付き : 「? どうかしたの?」
小首を傾げる。急に彼女が、奇妙な声を上げたのだから、当然吃驚する。

[メイン] 窓付き : そして、おさげの少女は─────アルビノの少女が目を向けている先へと、その細目を……。

[メイン] 少女 : 「あれは……どうして?」

[メイン] GM : あなたがその視線をなぞってゆけば、はるか先、遠い空の向こうに、一条の裂け目が生じていたのだった。

[メイン] GM : 暗転した世界で、声が聞こえる。

[メイン] : 今から言う言葉を復唱してください

[メイン] : あなたは誰ですか?

[メイン] : あなたの目的は何ですか?

[メイン] : あなたは、どうして生きているんですか?

[メイン] GM :  

[メイン] GM : からん。空になったスチール缶が、涼やかな音を発てた。
麗らかな陽射しに照らされ、あなたは目を醒ます。

[メイン] GM : 醒めた頭は、残酷なほどにクリアになっていた。あるがままの世界を、あるがままに受け入れる錐体細胞は、許容量を超えた陽光の輝きにじくじくと痛みを発していた。

[メイン] GM : 見れば――あなたの手足には包帯が巻き付いていた。腕も、足も。恐らくは、服で見えない部分にも巻かれているのだろう。

[メイン] GM : 腕から伸びる管を通して、体には何かが流入し続けている。まるで海月の頭のように透き通った、透徹した液体だった。

[メイン] GM : 狂ってしまったのは、世界か、それとも自分か。

[メイン] GM : 思考の端に、インクが滲むような感覚があった。長くはもたないと、そう自覚することだろう。

[メイン] GM : あなたは答えを見つけなければならない。残された時間は、そう長くはないのだ。

[メイン] 窓付き : 「…………………」
繋がれた管を、ぶらぶらと、縄跳びの様に動かして、外れないことを確認する。

[メイン] 窓付き : ただ、その様を細目で、見やるばかりだった。
そんな、長閑な日差しの当たる場所。

[メイン] 窓付き : 無機質な、無感動な……無表情で、事態を、ただ他人事の様に、把握するのだった。

[メイン] 窓付き : 質問を何度か、重ねられた。
誰で、目的で、何故生きているのだと。

[メイン] 窓付き : 一日は欲しい問いだった。すぐには、パッと出てこない。だって、分からないのだから。

[メイン] 窓付き : ……とりあえずは、動いてみることにした。
先程よりも、窮屈で、動きにくいが、ぼーっとしているよりは、動いていたいから。

[メイン] 窓付き : 小さい溜息を、鼻から漏らし……空を見上げる。

[メイン] GM : ふと、見上げた空は青く晴れ渡っていた。爽やかな風が頬を撫で、清々しい空気が肺を満たしていくことだろう。

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 25

[メイン] GM : s1d6 これも成功ですね… (1D6) > 1

[メイン] GM : あなたの眼は、真実を映し出す。

[メイン] GM : そこには、空などない。青く塗られた天井があるばかりだ。

[メイン] GM : 風は空調のものだろうか。ひどく乾いており、あなたの喉を貼り付かせることだろう。

[メイン] 窓付き : 「…………………………」

[メイン] 窓付き : 無感動に、見上げるのだった。

[メイン] 窓付き : ……分かっていた。

[メイン] 窓付き : 別に、もう、最初から分かっていた、と思う。
単純に、気づいたところで、どうだっていい気がしていた。そんな気怠さがあったから、いいやと思っていた。

[メイン] 窓付き : ただもう、こうして、徐々に、『視えて』いるのだから。

[メイン] 窓付き : 『自覚』くらいは、する。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 私は、狂ってるみたいだ。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 溜息を吐いた。
やれやれと、まるで、他人事のように。

[メイン] 窓付き : 立ち上がった。そして、今度は白い服の女性が目に入った為……。

[メイン] 窓付き : 細目を、さらに、細めた。

[メイン] GM : ベンチの辺りに目をやれば、白いワンピースを着た、一人の女性がいた。

[メイン] GM : 彼女は編み物をしているようであり、穏やかに微笑みながら佇んでいる。

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 43

[メイン] GM : s1d6 ほい成功 (1D6) > 4

[メイン] GM : 靄が晴れ、あなたは本当の姿を目にする。

[メイン] GM : 彼女が纏っていたのは白いワンピースではなく、あちこちに汚ならしいシミの残る入院着だった。

[メイン] GM : そして、女性の手には編み物をするための毛糸も編み棒もない。彼女は鉛筆を2本、交差させるようにして動かしながら、艶を失った無造作な前髪の端から覗かせる、乾いた瞳を中空に向けていた。

[メイン] 窓付き : 「………………」

[メイン] 窓付き : ここは、長閑な公園などではない。

[メイン] 窓付き : サナトリウムだ。

[メイン] 窓付き : そして私は、この人と、『同じ』。

[メイン] 窓付き : 私はこの人を見て、憐れだなって、思ってる。
じゃあ、すると、そうか。

[メイン] 窓付き : 私も、憐れまれてるのかもね。

[メイン] 窓付き : ……不思議な感覚。

[メイン] 窓付き : 『狂う』って、当事者からすると、こうなんだ。

[メイン] 窓付き : 私は、全然『普通』に見えてるんだけどね。

[メイン] 窓付き : 『普通』に、過ごしているつもりなんだけどね。

[メイン] 窓付き : ……『他人』からすれば、そうしてないんだろうね、私は。

[メイン] 窓付き : あーあ。
なんて、思いながら、分かっていながらも。

[メイン] 窓付き : 『患者』は、彷徨うのだった。暇を持て余す為に。
……『自己』の置き場が無い不安に取り残されるのを、嫌うため。

[メイン] 窓付き : そして見えた、建物の扉。
建物というか……。

[メイン] 窓付き : 『病室』を抜けるための、『廊下』へと繋がる扉。

[メイン] GM : あなたは建物の中に通じる扉に目をやった。何もおかしなところなどない。ワイヤーの入ったガラスが、あなたをじっと見つめ返してくる。

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 63

[メイン] GM : s1d6 まあこれは失敗しても… (1D6) > 6

[メイン] GM : また頭がぼやけてきたのか、特に気になる部分はないように見える。

[メイン] 窓付き : 混濁する中、扉を開ける。進む。ただ、無感情に。

[メイン] GM : 中にに入ると同時にあなたを迎えたのは、閉塞感のある真っ白な壁と床だった。

[メイン] GM : 意識的に呼吸をしなければ、窒息してしまいそうなほどの圧迫感。

[メイン] GM : そして、以前に目にしたときとは打って変わって、水を打ったような静けさが、その場を支配していた。

[メイン] GM : 足を踏み出したあなたは、床がどこまでも遠退いていくような錯覚に陥る。

[メイン] GM : 酷い目眩だ。ふらふらと揺れる世界の中、あなたは歩いていくことになる。

[メイン] 窓付き : 壁に手をつきながら、よたりと、歩いていく。
苦しい。きっと登山家は、酸素の薄い山の上ではこういう感覚を味わっているのだろう、となんとなしに思った。

[メイン] 窓付き : 細目で、周囲を見渡した。

[メイン] GM : あなたは周囲に視線を巡らせた。

[メイン] GM : 真っ白な壁や床には汚れひとつない。ある種潔癖とも言えるその白さは、眩しさすら感じるほどだ。

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 5

[メイン] GM : s1d6 よしよしよし (1D6) > 6

[メイン] GM : ――いや、白くなどない。

[メイン] GM : もとは白かったのかもしれないが、壁も床も、経年の黄ばみと塗装剥げが酷く目立つ。

[メイン] GM : 目を背けたくなるような、酷く陰鬱とした気配がした。

[メイン] 窓付き : じめっとしていた。清潔感の欠片も無い。ここに『収容』されている『患者』の……『扱い』が、よく分かる場所だった。

[メイン] 窓付き : 治る見込みがあるなら、こんなところに入れないだろう。
『人間』として扱うのなら、『患者』は清潔な場所で療養されるべきなのだから。

[メイン] 窓付き : とどのつまりは、『手遅れ』。そういった患者の、押し込み所。姥捨て山だ。

[メイン] 窓付き : へぇー。といった感じだった。
自分が、『そこ』に放り出されているというのに、だ。

[メイン] 窓付き : 歩いていく中、扉を見やっていく。

[メイン] GM : 手近なところに、二つ扉があるのが見える。

[メイン] GM : ひとつは『診察室』と書かれており、鍵がかかっているようだ。

[メイン] GM : もうひとつは『図書室』と書かれている。こちらは問題なく開くようだ。

[メイン] 窓付き : 診察室のドアノブを動かし、開かないことを確認すると、諦め、図書館へと繋がる扉へと向かって行った。

[メイン] GM : 本で満たされた大きな本棚がいくつも並ぶ図書室。
見渡す限り相当量の蔵書があるようだが、あなた以外には一人しか利用者が見当たらない。

[メイン] GM : 足を踏み入れると同時に鼓膜を絞め上げるような耳鳴りを感じた。目眩も、先程より酷くなってきている。

[メイン] GM : 時間が近いのかもしれない、あなたは漠然と、そう思ったのだった。

[メイン] 窓付き : 耳を抑える、そして苦痛そうな表情を浮かべるのだった。

[メイン] 窓付き : 眉を顰めながらも……背表紙が並ぶ本棚を、見やっていった。

[メイン] 窓付き : 探しているのは─────『ダヴィデ』に纏わるものだった。

[メイン] 窓付き : 朧気な、記憶。

[メイン] 窓付き : ■■■■■ちゃんとの、繋がり。

[メイン] 窓付き : ■■■■■ちゃん。

[メイン] 窓付き : ……どんな……名前……だったっけ。

[メイン] GM : 側にある本棚には、様々なジャンルの本が揃えられているようだ。

[メイン] GM : 『ダヴィデの父について』を獲得。

[メイン] GM : 旧約聖書について研究・分析した本が見つかる。その一節に目を奪われるだろう。

[メイン] GM : また、本の端に丸っこい文字で『希望はいつも彼の背に』と書かれている。

[メイン] 『ダヴィデの父について』 :  旧約聖書において、ダヴィデの父とされるのはエッサイと呼ばれる男だ。
 ユダのベツレヘム出身であり、8人の息子がいた。末っ子がダヴィデに当たる。
 彼の名前「Jesse」は人名の元になることも多く、現代でもこの名前をつける場合がある他、女性形にした「Jessica」という名前として使われることもある。

[メイン] 窓付き : 「……Jeccica……じぇし……か」

[メイン] 窓付き : おさげの少女は

[メイン] 窓付き : 口を、開き、声を、発するのだった。

[メイン] 窓付き : その細目に映された文字を、ただ、じっと、見つめたまま。

[メイン] 窓付き : 静かな時が、流れるのだった。

[メイン] 窓付き : ……ぱたりと、丁寧に、閉じた。

[メイン] 窓付き : そして……『自分のもの』があった、本棚へと足を運ぶ。

[メイン] GM : あなたは、奥まったところにある本棚の前までやってきた。

[メイン] GM : いっぱいに詰まった本の中でも、やはり気になるのは頭上高く、棚の一番上に置かれた代本板だろう。

[メイン] GM : 以前はあの代本板を調べることができなかった。調べる前にあなたの意識は別のものに吸い寄せられ、そのまま転倒してしまったのだから。

[メイン] GM : けれど、今の静かなこの場所であれば、あなたを邪魔するものなど何もない。真っ直ぐ伸ばした視線を遮るものは、一つとしてないだろう。

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 52

[メイン] GM : あなたは、代本板に手を伸ばそうとして、気がつくだろう。

[メイン] GM : それは代本板などではない。一冊の、古めかしい装丁の本だった。

[メイン] GM : どこか寒気を感じさせるような、恐ろしい気配を放ったそれを、あなたは苦もなく手に取ることができるだろう。

[メイン] GM : 『白痴の王について』を獲得。

[メイン] GM : 読みますか?

[メイン] 窓付き : 厄を感じた。悍ましい気配を、感じ取った。それを、開けば、読めば、どうなるか。
好奇心よりも……ずっと、冒涜的な恐怖を、抱いた。背筋を、百足が這っていくような感触を覚えた。

[メイン] 窓付き : 「………………」
やめて、おいた。

[メイン] 窓付き : 『まあ、いいや』では、済まされないような、気がした。
……『死ぬ』方が、よっぽど楽になれるような、そんな不吉な気がしたからだ。

[メイン] GM : 本を戻し、あなたが脚立から降りると、同時にどこかから、小さな金属音が聞こえた。

[メイン] GM : 足下に落ちていたのは、小さな鍵だった。飾り気のない、そのくすんだ輝きの上には、『診察室』と書かれたラベルが貼ってある。

[メイン] 窓付き : 拾って、見つめた。 ……これがあれば、施錠を外せる。

[メイン] 窓付き : 決断は、早かった。すぐに行動へと移した。
おさげの少女は、廊下へと出ると、診察室へと向かい……その鍵を、差し込んだ。

[メイン] GM : あなたは扉を開け、中に踏み入る。
そこには、小さな机と丸椅子が2 つ、そして、皺ひとつないベッドがひとつ置いてあるだけだった。

[メイン] GM : 奇妙なことがあるとするのなら、部屋に入った瞬間に、全ての音が絶えたということくらいか。今や心拍どころか、全身の血管が脈打つ音までもが、ハッキリと聞こえてきそうだった。

[メイン] GM : 頭痛、耳鳴り、目眩。頭蓋を内から抉じ開けられるのではないかというほどに、繰り返し世界が揺れる。

[メイン] GM : ともすれば嘔吐してしまいそうな症状を、胃の底に押し込めれば、食道が捻れ、爬虫類を潰した時のような音を発てた。

[メイン] GM : ここに、変わったものなど何もない。ただ、机の上に置かれた数枚の書類。それだけが酷く重苦しい雰囲気を放ち、あなたの視線を釘付けにするのだった。

[メイン] 窓付き : 汗が噴き出てきた。脂の混ざった汗だった。眉間には皴が刻まれ、苦痛に歪まれていた。気分が、とても悪かった。気持ち悪かった。

[メイン] 窓付き : ばん、とテーブルに手をつく。体重が乗っかり、大きな音が立てられることとなる。

[メイン] 窓付き : 肩で呼吸をする中……細目を、さらに細める。
置かれた手の先には、書類があった。皴の作られた、何かの文書。

[メイン] GM : あなたは机の上の書類に目をやる。

[メイン] GM : それは、一見すれば白紙に見えた。A4サイズの上質紙、それが4枚、何事もないような表情をして、あなたを睨み返している。

[メイン] GM : いや、本当に何もないのだろうか?

[メイン] GM : ここまで見てきたもの、感じたもの、触れてきたもの。それらの全てが、疑うに足るものではなかっただろうか?

[メイン] GM : 本当に狂っているのは、どちらなのだろうか?

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 99

[メイン] GM : 頭が軋む。

[メイン] GM : 目を背けたはずの事実が、改めてあなたの首に巻き付いてくる。酸素を求めてパクパクと動く口は、滑稽なほどに意味を成さない。

[メイン] GM : 陸で溺れることほど馬鹿らしいこともないだろう。あるいは、そう考えることこそが愚かなのだろうか。

[メイン] GM : あなたはもう判別もできないまま、目に映るもの全て、朧になった輪郭が二重三重になりブレていく。

[メイン] GM : 喉の奥から香る血の匂いは、何に由来するものなのだろう。何かにヒビが入る音がした。SANc(1d6/1d20)

[メイン] 窓付き : 1D100<=31 正気度ロール (1D100<=31) > 97 > 失敗

[メイン] 窓付き : 1d20 (1D20) > 15

[メイン] 窓付き : やばすぎ~

[メイン] system : [ 窓付き ] SAN : 31 → 16

[メイン] GM : 1d100を振ってください。

[メイン] 窓付き : 1d100 (1D100) > 32

[メイン] GM : s1d6 こわ~ (1D6) > 3

[メイン] GM : ぐちゃぐちゃにかき混ぜられた世界が、途端に大きく開けた。

[メイン] GM : 全身の血液が眼球に集まり、破裂しそうなほどに張り詰める。血流に従い、圧迫感と針で刺すような痒みとも痛みともつかぬ感覚が、あなたを襲うことだろう。

[メイン] GM : けれど、世界は明らかに表情を変えた。

[メイン] GM : 目の前の書類、先程まで確かに白紙であったそこには――無数の文字が踊っていた。

[メイン] GM : 並んでいるのは、確かな事実。

[メイン] GM : 今やもう、受け入れることしかできないだろう。

[メイン] GM : 『紹介状』を獲得。

[メイン] 『紹介状』 :  氏名:――――
 例の集団ヒステリー事件の被害者。
 例に漏れず『空から現れた何か』を目撃してしまい、精神的に大きな傷を負ってしまっているようだ。
 常にどこかぼんやりした様子で徘徊しており、コミュニケーションを取るのも難しい状態であり、拘束具の導入も検討中。
 また、フラッシュバック的に周囲の人間が怪物か何かに見える症状が確認されている。
 そのため、一時的に凶暴化し、職員に暴力を振るってしまったり、点滴を無理やり引き抜いて怪我をしてしまったりもしている。
 もう、既に一通りの治療法を試したが、全く効かなかった。もしかするとこの患者は、元には戻れないのかもしれない。
 残念だが、一般病棟に移すことはできない。そちらの精神病棟で、根気よく治療に励んでもらいたい。

[メイン] GM : 目にすれば、もう誤魔化すことはできない。

[メイン] GM : まともではないのは、あなただった。

[メイン] GM : 世界は何一つ変わっていない。あなたが見た恐ろしい光景の全ては、あなたにしか見えないものだった。

[メイン] GM : ここがどこなのかも、もう深く考える必要はないだろう。あなたを押さえつけてきた謎の生き物たちの正体も、捕まえることのできない少女の幻影も。全てがかちり、かちりと音を発ててはまっていく。

[メイン] GM : 全身に巻かれた包帯が、少しだけ弛んでいた。その下には幾重にも刻まれた、醜い傷跡が残っている。

[メイン] GM : どうしてこんなことになったのか。

[メイン] GM : 自分の身に何が起こったのか。

[メイン] GM : それをハッキリと、思い出すことだろう。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : あなたが異常に気がつくと同時に、空が割れる。そして、天から光が差した。

[メイン] GM : それは、絵画に描かれる神話の一場面のように神々しく、どこか触れがたい、荘厳な光の柱だった。

[メイン] GM : 熱を失う周囲の空気を必死に集めようと、あなたの肺は収縮する。

[メイン] GM : 繰り返し、繰り返し。けれど、喉が絞まっていくような感覚は、いつまでも消えてくれない。

[メイン] 少女 : 「ねえ、あなた。あれを見ちゃダメだよ。
あれは、大いなる白痴の王。目覚めてしまえば、この世の全てが泡沫の夢と消えてしまう」

[メイン] 少女 : 傍らに立つ少女が、泣きそうな声であなたにそう告げるだろう。小さなその手は震え、目元には大粒の涙を溜めている。

[メイン] GM : 辺りには太鼓を打ち鳴らすような重低音と、どこか心に孔を空けるようなフルートの音が響き続けている。

[メイン] GM : 彼女の言葉とは裏腹に、辺りの人々は一様に空を見つめていた。まるで、そうすることを命じられたかのように。みな膝をつき、腕を垂らし、流れる唾液も拭えぬままで、呆然と見上げている。

[メイン] GM : それは、あなたも同じだ。空に空いた孔。そこから降りてくる何かに目を奪われ、胸を満たされ、じわりじわりと、自我が欠けていく。脳が喰われていく。

[メイン] GM : そして、最後の一片までが染まりきろうという刹那。誰かがあなたの手を握った。

[メイン] : 「きっと、あなたの心は耐えられない。一度はバラバラに壊れてしまって、あなたは底まで沈んでしまうかもしれない。
それでも、あなたが希望を抱き続けていたのなら、私を標に戻ってこられるはず」

[メイン] GM : もう、それが誰なのかすらもあなたにはわからなかっただろうが、その温もりの主は涙混じりの声で、あなたに告げるのだった。

[メイン] : 「私の名前を、忘れないで。落ちてしまったそこで、何度でも私の名を呼んで――」

[メイン] : 「私はジェシカ――」

[メイン] GM : それを最後に、あなたの意識は途切れる。抗いがたい眠気に飲み込まれるような、穏やかな途絶に身を任せ、あなたは融解し、交合し、希釈されていく。

[メイン] GM : そう、あなたはこの時、狂気に落ちたのだ。

[メイン] GM : 白痴の王、彼女がそう呼んでいた、空から落ちてきた災厄を目にし、その心を磨り潰されてしまったのだ。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 全てを思い出したあなたの意識は、再びあの殺風景な診察室に戻ってきていた。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : ★しんじつ★

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 選択ルール

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : ─────狂人の洞察力

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 私は、『狂っている』。

[メイン] 窓付き : それが、『世界』の『真実』なのだから。

[メイン] 窓付き : だからこそ、狂っているからこそ、視えるものだってある。

[メイン] 窓付き : もうこの場では見つかりようのないものであったとしても

[メイン] 窓付き : たとえこの世に文字として残された全てが、焚書されたとしても。

[メイン] 窓付き : 気が狂うことによって視える『景色』は、本来では視えぬものすらも、映す。

[メイン] 窓付き : 「………思い出せ」

[メイン] 窓付き : 診察室に置かれた、ボールペンを手に取る。

[メイン] 窓付き : 強く握り締める。

[メイン] 窓付き : 紹介状をくしゃりと握った自分の、手の甲を見やる。

[メイン] 窓付き : ……大きく、振り被る。

[メイン] 窓付き : そして。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 「あ゛あああああッッッ……!!!」

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] : 「……ねえ、私の名前にはね、希望って意味があるんだ。だからあなたも私を忘れないで、いつ、どんなときでも――」

[メイン] GM : 最初に思い出したのは彼女の言葉。

[メイン] GM : 次に思い出したのは、少女の幻影が手にしていた植物図鑑。

[メイン] GM : ――希望の花言葉を持ち、春に咲く植物は、和名では雛菊。

[メイン] GM : 最後にあなたが思い出した記憶は『希望はいつも彼の背に』。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 大きく息を吸う。

[メイン] 窓付き : 震えながら。

[メイン] 窓付き : 鉄の匂いを、たんまりと、吸いながら。

[メイン] 窓付き : 鈍痛を、噛みしめながら。それは、生きている証なのだから。

[メイン] 窓付き : 高らかに、私はここに、宣言する。

[メイン] 窓付き : 狂気の不在証明をここに。

[メイン] 窓付き : 「─────ジェシカ・デイジー!!!!!!」

[メイン] 窓付き : 「私は!!!『正気』だよ!!!」

[メイン] 窓付き :
『狂っちゃいないよ』と、叫び続ける。

[メイン] 窓付き : 「ジェシカ・デイジー!!!!」

[メイン] 窓付き : 「お願い!!聞こえているなら!返事をっ!!して!!!」

[メイン] 窓付き : すうう!と、息を吸い。

[メイン] 窓付き : 「ジェシカアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!」

[メイン] 窓付き : 『正気』を、奮い立たせるように。

[メイン] 窓付き : ─────再建するように。

[メイン] GM :  

[メイン] : 「そう、私の名前はジェシカ・デイジー。
お祖父様にもらった、素敵な名前なの」

[メイン] GM : 頭の中に、そんな声が響く。

[メイン] GM : ああ、どうして忘れていたのだろうか。

[メイン] GM : 彼女はあなたに、そう語りかけてくれていたのだ。空が割れ、世界の全てが落ちてくる刹那にあっても、彼女の手の暖かさだけが、紛うことなき真実だったじゃないか。

[メイン] GM : 世界がひび割れる。鉛のように重い殻を脱ぎ捨てて、あなたは立ち上がった。

[メイン] GM : 頭痛が、目眩が、耳鳴りが。

[メイン] GM : あなたを悩ませ続けていたあれやこれが、全て雪がれていく。卵の殻が割れるように、狂気に揺らぐ世界が、パラパラと崩れていく。

[メイン] GM : 降り積もる雪のような純白の欠片を踏み締めながら、あなたはゆっくりと顔を上げる。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 目の前には、彼女が立っていた。

[メイン] 窓付き : おさげの少女は─────感動を抱き、そして、微笑んだ。

[メイン] ジェシカ・デイジー : ジェシカ・デイジー。彼女はあなたに、ただ微笑みかける。とろんとした瞳を向けられたあなたは、音が遠退いた世界で、その唇がゆっくりと動くのを見つめることだろう。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 『よかった、おかえりなさい。あなたが戻ってこられて、ほんとうによかったわ』

[メイン] ジェシカ・デイジー : 小さな両手が、傷だらけのあなたの皮膚に触れる。そこから熱が広がり、指先、髪の先まで満ちていく。

[メイン] 窓付き : 首を、小さく横に振る。

[メイン] 窓付き : 「……私だけなら、沈んでたよ、闇の中に」

[メイン] 窓付き : 「今……私がここにいるのは、きっと ……ううん」

[メイン] 窓付き : 「絶対、貴女のおかげだよ ─────ジェシカ」

[メイン] ジェシカ・デイジー : 何度も名前を呼ばれた彼女は小さく微笑んで。

[メイン] GM : 何かに抱き締められているような。

[メイン] GM : 何かに許されたような。

[メイン] GM : 何かに愛されているような、そんな温度が、あなたをゆっくりと包み込むことだろう。

[メイン] GM : 途端に、あなたの両目蓋が重くなっていく。

[メイン] GM : 意識がかき回されるような、強い眠気だった。抗うこともできずに、あなたは微睡みの淵から転げ落ちていく。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 完全に目を閉じてしまう直前、あなたの網膜には、柔らかな彼女の笑みだけが、どこまでも鮮やかに焼き付くことだろう。

[メイン] GM :  

[メイン] GM : 次にあなたが目を開ければ、そこは病院のベッドの上だった。

[メイン] GM : 窓からは明るい陽光が差し込み、久しぶりに肺いっぱいに吸い込めた空気からは、少しだけ消毒液の匂いがした。

[メイン] GM : けれど、柔らかなシーツの感触も、潔癖な壁の質感も、何もかもが疑うべくもなく、あなたの知る正気の世界のものだ。

[メイン] 窓付き : そこは、黄ばんだ薄暗い壁に囲まれた、閉塞的な光景ではなかった。
しっかりと、窓が見えた。外から差し込まれる光が、見えた。

[メイン] 窓付き : この世のものだった。

[メイン] 窓付き : 長い、長い悪夢でも見たような、そして……そこから出ることのできた、憑き物の落ちた、晴れやかな、心地良い気分だった。

[メイン] 窓付き : 腕を上へと伸ばして、ストレッチをした。気持ちよかった。

[メイン] : 「……おお、目が覚めたかね」

[メイン] GM : 見れば、傍らの椅子に一人の男が腰かけていた。白衣を着用しており、世辞にも痩せているとは言えない体型の彼は、あなたの主治医だと名乗った。

[メイン] GM : そして、その医者は、はっきりと受け答えをするあなたの姿に驚愕を隠そうともせずに、何があったかを教えてくれるだろう。

[メイン] 窓付き : 小首を傾げるも、名乗りに把握をし、こくりと頷く。

[メイン] : 「いやあ、君はね、もう手の施しようがない状態で運ばれてきたんだよ。自分のことはちゃんとわかるかい?」

[メイン] 窓付き : 手を差し出し、握っては開き、握っては開いて見せる。
正常に、自分の体が自分の思うように動いていることを見せる。

[メイン] GM : あなたが答えれば、彼は嬉しそうに手元のバインダーに何かを書き付けているようだった。

[メイン] : 「そうだな、何から話そうか。君も混乱しているだろうし、まずは最初からかな――」

[メイン] GM : ――そうして、主治医はあなたに話してくれるだろう。

[メイン] GM : あなたの住む町で、多くの人々が突如として発狂する集団ヒステリーが起こったこと。

[メイン] GM : あなたはここ数日、完全に錯乱した状態にあったということ。

[メイン] GM : そして――あなたをこの病院に連れてきたのは、一人の少女だということ。

[メイン] 窓付き : 反応を起こす。背筋が伸びた。
……ひょっとして。

[メイン] GM : 「その子は、毎日面会に来てくれていたのだがな、正直、昨日までの君は人に会わせられる状態じゃなかった。
しかし、今の君であれば――問題はないだろう」

[メイン] GM : 彼の言葉が終わるか否かというところで、ゆっくりと、病室の扉が開いた。

[メイン] : 立っていたのは、一人の少女。

[メイン] ジェシカ・デイジー : あなたが名前を呼んだ、雛菊の少女。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 彼女は靴を鳴らしながら、あなたのベッドのすぐそばまで歩いてくる。

[メイン] ジェシカ・デイジー : そして、穏やかに微笑みかけてくるだろう。

[メイン] 窓付き : 歓迎するように、にこりと、微笑み返す。

[メイン] 窓付き : そして、おさげの少女は、少し照れを見せているのか、逡巡しつつも……意を決したように、口を開く。

[メイン] 窓付き : 「……ただいま。心配させちゃったね」
これまた、まるで他人事の様な、淡々とした言い回しで。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 小さく首を左右に振って、花束をあなたに渡しながら

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「あなたなら、きっと帰ってくるって信じてたから」

[メイン] ジェシカ・デイジー : そしてひときわ大きな笑顔を見せて

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「おかえりなさい!――――」

[メイン] GM : 恐慌をきたした世界の中、さ迷っていたあなたはここに帰ってきた。正気と狂気の狭間の旅は、これにて終止符。

[メイン] GM : 今はただ、彼女が抱えてきた雛菊の香りだけが、部屋の中に満ちていた。

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] GM : エンディングA
『JESSICA』

[メイン] GM :  

[メイン] GM :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 何事も無かったように、おさげの少女は、ベランダに立つ。

[メイン] 窓付き : 高いマンションの上。少女の背には、暗い自室。
簡素で、殺風景で、少女趣味らしい小物は一つも無い。

[メイン] 窓付き : 高い階層の為、吹かれる風は、強かった。
おさげが、横に、斜めになる様にたなびかれた。

[メイン] 窓付き : 手摺に、手を置くは、窓付き。

[メイン] 窓付き : 遠く、『本物』の空を見上げている。
東に月、西に日が位置し、紫と茜色を混ぜた色合いが広がる。

[メイン] 窓付き : 「…………………」

[メイン] 窓付き : 無機質に、無感動に、無表情に、見つめていた。

[メイン] 窓付き : ─────少女は、『本来』は、生きる気力をほとんど持っていなかった。

[メイン] 窓付き : 飽きたら、飛び降りるつもりだった。

[メイン] 窓付き : ……何故、気が変わったのだろうか。

[メイン] 窓付き : 少女にとっても、不思議だった。

[メイン] 窓付き : それに……。

[メイン] 窓付き : 脳裏に浮かぶは、アルビノの少女。
─────大親友・ジェシカ・デイジー。

[メイン] 窓付き : 柔らかで、温かく、お花畑のような笑顔を差し向けてくれる存在。

[メイン] 窓付き : 一緒にいて、悪い気は一つも起きなかった。
むしろ、心地良かった。

[メイン] 窓付き : ……不思議だった。

[メイン] 窓付き : 何故かって、それは……。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 私には、『友達』は、一人もいなかったはずなのだから。

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き :  

[メイン] 窓付き : 少女は……手摺の向こうへと、身を少しだけ押し込むと……。

[メイン] : コンコン。小さくあなたの自室のドアをノックする音が聞こえる。

[メイン] 窓付き : 音に気が付き、扉の方を向く。

[メイン] 窓付き : 玩具の、ヤジロベエのような格好のまま。

[メイン] : 少しだけためらうように沈黙が続くも、ガチャリと音を立ててゆっくりと扉が開いていく。

[メイン] ジェシカ・デイジー : そこからひょこっと顔を覗かせたのは、あなたが知っている白髪の少女、ジェシカだった。

[メイン] 窓付き : 「あれ、ジェシカ」
危なげな格好のまま、そんな状態だというのに、危機感の無い、まるで道すがらに出会った際の挨拶のような声。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「…こんばんは。あなたが私を呼ぶ声が聞こえた気がしたから、無断で入っちゃったけど…」

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「……って!?そこ危ないよ!?なにやってるの!?」

[メイン] ジェシカ・デイジー : すぐにあなたに駆け寄り、腕を掴んでぐいっと引っぱり部屋に戻すとする。

[メイン] 窓付き : 「うわ~!」
こてん、とベランダの方へと倒れる。

[メイン] 窓付き : そして、ジェシカを見上げるような形となり

[メイン] 窓付き : 「………何やってる……うん、何やってるんだろうね、私」

[メイン] 窓付き : そんな、釈然としない応えになるのだった。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「……あなたがわからないなら私にもわからないよ」
困ったような顔をしながら、そのまま膝を曲げてあなたに視線を合わせて

[メイン] 窓付き : 「あはは、だよね」
自分のことなのに、他人事のような感想を漏らしながら。

[メイン] 窓付き : 「ありがとう、何も無いところだけど、のんびりして」

[メイン] 窓付き : ジェシカの手を引いて、とりあえずの座れる場所……ベッドへと、腰掛ける。

[メイン] 窓付き : 先程の、自殺未遂なんて無かったかのような、『普段』ジェシカと過ごしているような振る舞いをする。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「…うん」
あなたに促されるまま、自身もあなたの隣にちょこんと腰掛けて

[メイン] 窓付き : 座らせたは良いものの、特にこれと言った話題があるわけでもない。
ん~~、と考えていると、ふと、気になるものがあった。

[メイン] 窓付き : 「……私さ、あの時さ」

[メイン] 窓付き : あの時、つまりは……『正気』を失っていた時。
精神病棟に放り込まれていた時だ。

[メイン] 窓付き : 部屋のベランダ窓から見える、ビル街の景色を細目で見つめながら。

[メイン] 窓付き : 「多分、色んなものがカオス状態になってて、何が正しくて、何が正しくないかも、分からないような、そんな感じでさ」

[メイン] 窓付き : 「『確か』なものが、何一つなかったんだよね」

[メイン] 窓付き : 「でもさ、不思議にね」

[メイン] 窓付き : 「……ジェシカは、いてくれたんだ。狂った世界の中にも」

[メイン] 窓付き : 本来なら、深い絆という意味では、両親がいた方が、それらしいというか、納得いきそうなものだ。
あるいは、私に恋人なるものがいれば、恋人がいた方が、それも、それっぽい。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「ねえ、初めて会ったときのこと覚えてる?」

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「『私はね、誰かの手を取るためにここまで来たんだ』…って話したこと」

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「でも、どうやらその必要はなかったみたい。って、あの時は言ってしまったけど」

[メイン] 窓付き : 「うん」
こくりと、頷いて。興味を持った目で、ジェシカを見つめる。

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「…でも今は、あなたの手を取るためだったんだって、思い直したんだ」

[メイン] ジェシカ・デイジー : 少し照れくさそうにしながら続きを述べていく。
「ほら、私の名字のデイジーって『希望』って意味があるでしょう?…あなたもそれを覚えていたから、あなたが向こう側にいっていても私を見つけられたんだと思うんだ」

[メイン] 窓付き : 「…………………なにそれ」
頬が赤いのは、きっと

[メイン] 窓付き : ベランダから差し込まれる、夕日のせいでしょ。

[メイン] 窓付き : 熱い。
ぱたぱたと、手を団扇にして、仰ぐ。

[メイン] 窓付き : 「……でも、なんだか私も、『そういうこと』にしておいた方が……」

[メイン] 窓付き : 「気分が、なんとなく、いいや」
ベッドに、ごろんと倒れる。

[メイン] ジェシカ・デイジー : あなたの言葉にクスリと笑顔を見せて

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「…だからまたわからなくなったら、私を探して――私の名前を呼んで」

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「私で良かったら、何度でもあなたの希望になってみるから」

[メイン] ジェシカ・デイジー : そのままあなたに倣うようにベッドに倒れて

[メイン] 窓付き : 「まーたそうやって、気恥ずかしいこと言うー」

[メイン] 窓付き : 淡々とした口調ながらも、明らかに照れ隠しのそれだった。

[メイン] 窓付き : 揶揄いで、誤魔化していた。

[メイン] 窓付き : ジェシカのほっぺを軽く摘まんで、むにむにしていた。

[メイン] 窓付き : 「………言質、取ったし」

[メイン] 窓付き : 「まぁ、呼ばない理由も、見当たらないしさ」

[メイン] 窓付き : 「こんな用事でも呼ぶの?って時でも、呼ぶけど」

[メイン] 窓付き : 「いいよね?」

[メイン] 窓付き : 細目の瞳を向ける。その顔は、笑っていた。

[メイン] ジェシカ・デイジー : あなたに頬をつままれながらも笑顔を見せて

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「もちろん!」

[メイン] 窓付き : その元気な返答に─────心は、解れた。
温かさに、包まれた。

[メイン] 窓付き : ……さて、私の中にあった『不思議』は、結論から言うと全然、解消なんてされやしていない。

[メイン] 窓付き : ジェシカと私は、一体いつ友達になったのか?
そして、なんで私はジェシカのことを、こんなにも想っているのか。
イマイチ、よく分かってない。

[メイン] 窓付き : よく分かってないけど。

[メイン] 窓付き : ……居心地が良いんだから、もう、それでいいやって、なった。

[メイン] 窓付き : 『理由』なんて、なんとなくだけど、探しても意味が無いような気がした。

[メイン] 窓付き : 『真実』だとか、そんなものも、どうだっていい気がした。

[メイン] 窓付き : 私にとっては、ジェシカは大親友。

[メイン] 窓付き : それでもう、十分だよね。

[メイン] 窓付き : にっ、と笑いながら。

[メイン] 窓付き : 「……じゃあ、日も暮れてるしさ、お泊り大会、しちゃおうか」

[メイン] 窓付き : 「憧れだったんだよね」

[メイン] ジェシカ・デイジー : あなたの笑顔に、あの時見せたものと同じ穏やかに微笑みを見せて

[メイン] ジェシカ・デイジー : 「ふふっ!それなら他にもやってみたいこと、ふたりでいっぱいやっちゃおう!」

[メイン] : 夕陽に照らされて、あなたが身につけている雛菊のペンダントがきらりと輝いた。

[メイン] : この先のふたりの未来に希望があらんことを。

[メイン] ジェシカ・デイジー :  

[メイン] ジェシカ・デイジー :